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オーバーナイトインデックススワップとは

オーバーナイトインデックススワップとは

LIBOR移行対応アップデート―ハイライト(2021年2月16日~28日)

米国代替参照金利委員会(ARRC)のTom Wipf議長は、先般開催された米商品先物取引委員会(CFTC)のMarket Risk Advisory Committee(MRAC)において、中央清算機関による既存取引の事前転換はMRAC金利指標改革分科会が最も注目している論点であると発言しています。2021年末のユーロ圏無担保翌日物平均金利(EONIA)の公表停止に先立ち、LCHとユーレックス(EUREX)は2021年10月15日に既存のEONIA参照取引を事前転換すると発表しています。

PwCの見解

この転換は、ほとんどのLIBORテナーの公表停止予定日である2021年12月31日に可能な限り近い時期に実施される予定です。また、米ドルLIBORスワップについても同様のプロセスを踏むことになると考えられ、2023年6月に近い時期の実施が予想されます。ただし、2021 年以降の米ドル LIBOR 商品の流動性の低下によって予定より早く転換が求められる可能性については、今後の動向が注目されるところです。

2.英ポンドLIBOR参照ローン:新規取引停止への道筋

英ポンド・リスクフリーレート・ワーキンググループ(Sterling RFR WG)は、2021年第1四半期末までに英ポンドLIBORを参照する新規ローンの取引を停止させるためのマイルストーンに関するQ&Aを公表しました。このマイルストーンは昨年7月から公表されていたこともあり、今回のQ&Aは、既存取引のポンド翌日物平均金利(SONIA)への事前移行は順調に進捗しているべきであると、市場参加者にくぎを刺したものです。したがって、緩和策と言えるようなものの提示はありませんでした。

  • 2021年末以降に満期日を迎える英ポンド建てローンは、新規、リファイナンスを問わず、2021年第1四半期末までに停止すること。対象にはレートスイッチ条項を備えたローンも含む。
  • 2021年第1四半期に交渉中のLIBOR参照ローンの契約は、同期間中に締結すること。
  • 英ポンドLIBORを参照する新規およびリファイナンスのマルチカレンシーローンについても、2021年第1四半期末までに代替参照金利に差し替えること。
  • 2021年第1四半期末までにRFR参照ローンを取引する態勢を整備できなかった貸手および借手は、2021年第1四半期以降、SONIA参照シンジケートローンに参加できない。

Sterling RFR WGは、SONIA参照ローンの推進のため、SONIAを参照する新規の相対ローン、シンジケートローンおよび英ポンド LIBORを参照する既存ローンの移行のベストプラクティスに関するガイドラインを併せて公表しました。このガイドラインは、Sterling RFR WGが過去数カ月で公表したガイダンスをまとめたものです。

PwCの見解

ARRCは、米ドルLIBORを参照する変動利付債(FRNs)の発行を2020年末までに停止するように求めていましたが、2021年前半においても発行は続いています。映画「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズの第1作で、海賊船の船長バルボッサが若いエリザベス・スワンに海賊の行動規範の本質を解き明かす下りがあります。「規範とは、君たちが言うところの “ルール”というよりは“ガイドライン”と呼ぶべきものだ」。英ポンドローンに関して言えば、Sterling RFR WGが公表したガイドラインにおける2021年第1四半期末というマイルストーンは、(より厳しい)「締め切り」と呼ぶべきものです。

3.立法的救済措置:米ドルLIBOR参照既存取引

米連邦準備制度理事会のJerome Powell 議長は、下院金融委員会において、LIBORの恒久的な公表停止に備えた規定が全くない、または不十分である既存契約に対処するには、立法的救済案が最善の解決策であると証言しました。この法案の草案は、2020年10月にBrad Sherman下院議員が議長を務める下院の資本市場分科会で回覧されており、現在ニューヨーク州議会で検討されているARRCの提案に沿った形で立法化される見込みです。

またPowell 議長は、シンセティックLIBORをレガシーエクスポージャーに対する実効的な解決策として検討していないことに改めて言及しました。一方、英国ではパネル銀行の金利呈示に依存せずに算出するシンセティック英ポンドLIBORの公表がFCAによって現在検討されています。Powell議長は前回の証言でも、米国の訴訟環境を踏まえるとシンセティック米ドル LIBORによる対応は課題が多いと発言していました。実際、前回のハイライト(2021年2月1日~15日)でも言及したように、シンセティックLIBORに関連する訴訟リスクを懸念して、英国財務省もセーフハーバー規定の必要性を問う市中協議を行っています。

リスク・フリー・レート(RFR)入門-TONA,TORF,OISを中心に-

1.はじめに
筆者が執筆した「金利指標改革入門」(服部, 2021)ではOTC市場の概要を説明した後、ロンドン銀行間取引金利(London Interbank Offered Rate, LIBOR)の基本的な仕組みやLIBOR不正操作問題、その後のLIBOR改革について触れました。本稿では服部(2021)を前提に、我が国で用いられるLIBORの代替金利について説明します。服部(2021)で強調したことですが、LIBORの最大の問題点は、パネル行のオファー・レートに基づいた指標金利であり、実際の取引に立脚しないことから操作する余地が生まれた点です。我が国では、LIBORに代わるリスク・フリー・レート(Risk Free Rate, RFR)として無担保コール翌日物金利(Tokyo OverNight Average rate, TONA)が採用されましたが、TONA(実務家は「トナー」と読みます)は後述するとおり一日で数兆円もの取引で決定される短期金利です。その意味で、我が国ではLIBORの代替となるRFRとして、実際の取引に立脚した操作の余地がないTONAが採用されたと言えます。
服部(2021)ではLIBORが「前決めターム物金利」であることから実務家にとって使いやすい側面も強調しました。我が国では、LIBORに代わる前決めターム物金利として、東京ターム物リスク・フリー・レート(Tokyo Term Risk Free Rate、TORF)が導入されましたが、TORF(実務家は「トーフ」と呼びます)はTONAを参照するオーバーナイト・インデックス・スワップ(Overnight Index Swap)に基づく金利指標です。そのため、本稿ではTORFの考え方とともに、OISの仕組みについても丁寧に説明をします。
なお、本稿では金利スワップの基礎を前提とさせていただくため、金利スワップの基礎的内容については服部(2020a)を参照していただければ幸いです。また、筆者がこれまで執筆してきた一連の債券入門シリーズについては筆者のウェブサイトにまとめて掲載してありますので、そちらもご参照いただければと思います*2。

2.無担保コール翌日物金利(Tokyo OverNight Average rate, TONA)
2.1 無担保コール翌日物金利とは
本稿では、まず無担保コール翌日物金利(TONA)を取り上げます。TONAとは金融機関同士が無担保で実際に取引した際のオーバーナイト(1営業日)の金利に相当します。金融機関の間でたった1営業日貸し出す金利ですから、ほとんど信用リスクがない金利と解釈できます。
TONAとは、銀行間で資金の融通をする、いわゆる「コール市場」と呼ばれる市場で形成される金利です。コール市場における「コール」とは、「呼んだらすぐにくる」という意味であることから短期の資金調達を行う市場になりますが、最も流動性がある取引はオーバーナイトの取引であり、TONAはその金利の加重平均値になります。コール市場では、1営業日かつ無担保という条件を満たす金利以外にも、異なる期間や有担保の貸借もなされています(詳細は東短リサーチ(2019)を参照してください)。
LIBORの代替金利という観点でみると、TONAの最大の強みは、「実際の取引に基づいた金利」である点です。日銀の統計によれば無担保コール翌日物の出来高は1日あたり平均5兆円*3を超える規模です*4。冒頭で強調したことですが、LIBORの最大の問題点は、LIBORがパネル行のオファー・レートに基づいた指標金利であり、実際の取引に基づいていない点でしたが、TONAに立脚すれば操作される余地がない金利指標を得ることが可能です。服部(2021)で説明しましたが、ウォーター・フォール・アプローチでは出来高に基づく加重平均値(Volume Weighted Average Price, VWAP)が最も望ましいとされていますが、TONAはまさにVWAPに基づく金利といえます。
日銀が公表するTONAは具体的には、算出対象取引のレートを、レート毎の出来高(レート毎の出来高は約定が成立した取引の金額)で加重平均します。そのデータは、情報提供会社*5から提供されるデータをもとに、レート毎の積数*6の合計値をレート毎の出来高の合計値で除すことによって算出します。速報値は当日の午後5時15分頃、確報値は翌営業日の午前10時頃公表されます*7。
2.2 長年、政策金利として用いられてきたTONA
TONAは、日銀がオペレーション(公開市場操作)を行う際に誘導する短期金利として有名です。日銀によれば、金利が自由化し、1995年からは、短期市場金利を誘導するオペレーションを通じて金融市場調節を行うようになりました*8。特に、1998年以降の金融市場調節方針では、TONAを平均的にみて〇〇%前後で推移するよう促すなど、TONAに基づき誘導目標を具体的に定めるようになりました。量的緩和時やマイナス金利政策導入以降等、我が国において必ずしもTONAが政策金利として使われているとは限りませんが、TONAは金融政策と密接な短期金利ということができます。
日本でTONAを政策金利とした背景には、長い間、短期金利として日銀が誘導しやすい金利とされていたことが主因です*9。短期の資金需給の予測精度は、我が国では非常に高いとされており*10、銀行間の貸借の需給であれば、日銀が当座預金による調整で操作しやすいといえます。また、レポ市場の金利(国債などを担保にした時の調達コスト)に比べ、債券の需給などその他の要因は影響されにくいとされています*11。もっとも、国によって政策金利として用いられる短期金利は様々であり、LIBORが政策金利として使われていた国もあります*12。
2.3 オーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)とは
TONAが実際の取引に立脚した金利であることから、RFRとして望ましい性質を有する点は上述のとおりですが、LIBORの代替金利という側面を考えると、必ずしもすべて望ましい性質を有しているとは限りません。特に、TONAはオーバーナイト(1営業日)の金利である一方、6か月円LIBORは「6か月間の金利」(これを「ターム物金利」といいました)という違いがあり、直接代替することはできません。結論を先に書くと、LIBORの代替金利としてTONAを用いた場合、TONAで一定期間複利運用した場合の金利(後述する「後決め複利金利」)を用います。
ここではこの意味を具体的に考えるため、ここからオーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)について考えていきます。金利スワップとは、服部(2020a)で解説したように、異なる金利を等価交換するデリバティブ契約でした。代表的な金利スワップは、固定金利と変動金利を交換するスワップです。変動金利として長年、日本では6か月円LIBORなどLIBORが用いられてきましたが、OISとは変動金利としてTONAを使う金利スワップでした。OISそのものは長年流動性が低いとされてきましたが、LIBORが停止することが決まって重要性を増し、流動性*13が高まってきている金利スワップです*14。
ここで、読者が筆者とOISの契約を結んだ例を考えてみましょう。OISとは変動金利をTONAとする金利スワップでしたから、例えば、読者が固定金利を受け取る場合(レシーブする場合)、TONAを変動金利として支払います。この場合、固定金利がマーケットで1%であるとした場合(この固定金利をスワップ・レートといいました)、読者は筆者から年間1%を受け取る一方で、変動金利であるTONAを私に支払います。これを表した図が図表1(OISのイメージ)です。
OISは初学者にとって理解しにくいと言われますが、筆者の理解では、これは変動金利であるTONAの支払い方法に起因するものです。先ほどの例を挙げれば、読者は毎日定まったTONAを筆者に支払うわけですが、毎日入金するのはあまりに事務負担が多すぎます。そこで、読者と私で、例えば、今から1年後に、実際に実現したTONAに基づいて1年分の金利をまとめて支払ってください、という取り決めをしておくわけです(満期が1年を越えるOISの利払いの市場慣行(デイカウント・コンベンション)は年一回利払いです*15)。TONAは毎日変わるものですから、読者が支払うべき変動金利が確定するのはまさに1年後ということになります。このような仕組みを「後決め金利」といいます。
注意すべき点は、このスワップ契約において、読者が変動金利として支払う金利は、正確には、1年間TONAで運用した場合の「複利」になります*16。本来、筆者はTONAを読者から毎日受け取るため、筆者はその受け取った金利も運用することができます。そのため、読者は1年後に筆者にまとめて変動金利を支払う場合、読者と筆者の間でフェアなトレードにするためには1年間のTONAの(金利の再投資収益も考えた)複利計算をして私に支払うという形にする必要があるわけです。そのため、OISでは固定金利を受け取る一方で、TONAの複利を支払うという設計がなされています。
OISの仕組みを理解すれば、例えば6か月円LIBORの代わりにTONAを用いる場合、OISのように、TONAに立脚した「後決め複利金利」を金利として支払うことが自然であると感じられるはずです。例えば、ある会社がこれまで「6か月円LIBOR+スプレッド」*17という形で債券を発行していたところ(服部(2021)では「6か月円LIBOR+2%」という例を取り上げました)、TONAを用いる場合、「TONA+スプレッド」という形で変動金利を定めます。そのうえで、6か月間*18に実際に発生したTONAの複利に一定のスプレッドをのせて金利を(利払のタイミングで)支払う仕組みにするわけです。これがTONAを用いて後決め複利金利を算出するイメージです。
2.4 後決めのメリットとデメリット
このような金利の支払い方法は理屈上わかりやすいのですが、問題点は、この金利は支払いのギリギリのタイミングで金利が確定するという「後決め金利」*19であり、実務的には非常に使いづらいと感じる投資家が少なくない点です。服部(2021)で強調しましたが、LIBORの大きな特徴は「前決めターム物金利」であり、6か月円LIBORの場合、半年前に支払う金利が決まっている点が実務的に使いやすい点を強調しました。たしかに機関投資家などは毎日のように決済することに慣れていますが、一般の事業会社などにとっては直前に決まった金利をすぐに支払ってくれと言われても対応できないことがありえます。LIBORのように「前決め」であれば6か月後に支払う金利は現時点で確定してしまうため、支払いの準備の猶予は十分といえます。
また、後決めの金利を受け取る側からみても実務的に面倒な点があります。例えば、6か月円LIBORであれば、前決め金利であるため、現時点で6か月後に支払う金利が決まっています。そのため、金利収入の見立ては確実ですし、それに付随した会計処理など様々な事務の準備が事前にできます。一方、TONAに基づいて「6か月の変動金利」を決めた場合は6か月後に金利収入が決まるため、受け取る側からしても様々な事務処理が複雑であるという問題があるのです。
もっとも、TONAをベースとした後決め複利でも一定の工夫の余地があります。例えば、2021年9月に起債された三菱商事の劣後債がTONAを参照としたため話題になりましたが*20、そこではオブザベーション・ピリオド・シフト方式(参照期間前倒法)が採用されています。前述のOISのように後決め複利を計算すると直前に金利が決まるため、例えば、10営業日複利の参照期間をずらすことで支払金利が10営業日前に支払い金利が決定されるという工夫を行っています。図表2(オブザベーション・ピリオド・シフト方式のイメージ)のイメージ図のとおり、支払うべき利払額は「利息計算期間×適用金利」になりますが、「利息計算期間」は利払いから利払いの間の日数とする一方で、適用金利を計算するためにTONAを参照する期間を10営業日前倒しするという工夫をしています。本来、支払い期間に相当する金利を支払うべきですが、実務的に余裕を持たせるために行った現実的な解決策といえましょう。
ここではオブザベーション・ピリオド・シフト方式を紹介しましたが、これ以外の調整方法もあります。日本証券業協会による資料*21ではTONAを用いた複利の算出方法として、OISのように計算する方法を「(0)Base Case」としたうえで、これ以外に(1)Payment Delay(支払日修正法)、(2)Rate Cut-off(参照金利留置法)、(3)Lookback(参照金利前倒法)、(4)Observation Period Shift(参照期間前倒法)の4種類の利用事例を紹介しています。図表3(オーバーナイト(O/N)RFR オーバーナイトインデックススワップとは 複利の算出方法の種類)に概要を記載していますが、詳細は日本証券業協会による資料等を参照してください。

3.東京ターム物リスク・フリー・レート(Tokyo Term Risk Free Rate, オーバーナイトインデックススワップとは TORF)
3.1 OISのスワップ・レートをターム物金利とみなすアイデア
上述の通り、LIBORは「前決めターム物金利」という特徴を有しますから、LIBORの代替金利についても前決めターム物金利を活用したいという実務上のニーズがあります。実際、日銀が事務局を務める「日本円金利指標に関する検討委員会」において、市場参加者から、貸出・債券に関する複数の後継金利指標のうち、ターム物のRFRが支持を集めました*24。そこで、OISによるスワップ・レートそのものをLIBORに代わる「ターム物金利」として活用しようというアイデアが「東京ターム物リスク・フリー・レート(Tokyo Term Risk Free Rate、TORF)」です。
理屈的にはOISのスワップ・レートをTONAの後決め複利に立脚した「ターム物金利」とする合理性はあります。服部(2020a)で強調しましたが、金利スワップとは固定金利と変動金利の「等価交換」です。例えば、読者が満期6か月のOISをレシーブするために証券会社にプライスを聞き、1%とレートを返されたとします(図表4:スワップ・レート(固定金利)とTONAの6か月複利は等価交換)。前述の通り、金利スワップは「等価交換」ですから、この1%は、「(RFRとして望ましい性質をもつ)TONAの6か月間の後決め複利」の期待値と等価とみることが可能です。たしかに、TONAの6か月の(後決め)複利については6か月後にならなければ定まりません。しかし、変動金利(TONA)と固定金利を交換する金利スワップ(OIS)を用いれば、「(事後的に決まる)TONAの6か月間の後決め複利の期待値」と等価の固定金利を「現時点」で観察することができるわけです(もちろん、事後的には通常、OISの固定金利とTONAの6か月の複利金利は乖離します*25)。
TORFの発想は、上述のロジックに基づき、OISのスワップ・レート(固定レート)を今から半年間の「ターム物金利」とみなすことで、TONAに基づく「前決めの金利」を定めるという発想です。このアイデアに基づけば、3か月円LIBORや6か月円LIBORといったターム物の金利については、3か月のOISや6か月のOISのスワップ・レートを取得できれば、マーケットでの取引に立脚したターム物金利が得られます*26。前節では、「6か月円LIBOR+スプレッド」という変動債を例にあげましたが、「TORF(6か月物)+スプレッド」という形で変動金利を定めれば、6か月後に支払うTONAに立脚した変動金利を「現時点」で定めることができます。これはまさにLIBORと同様に、前決めターム物金利といえましょう。
「日本円金利指標に関する検討委員会」は上記を問題意識に、QUICKを新指標の算出・公表主体に選定し、1か月、3か月、6か月物についてターム物金利(TORF)の公表がなされています。具体的には、2021年1月、「株式会社QUICKベンチマークス(QUICK Benchmarks, QBS)」を設立し、4月から、QBSが「確定値」の公表を開始しています*27。TORFを算出するQBSは金融商品取引法が定める「特定金融指標算出者」に指定されており、証券監督者国際機構(International Organization of Securities Commissions, IOSCO)が定める「金融指標に関する原則」を遵守し、TORF算出の透明性と運営の健全性を保つ取り組みを行っています。
3.2 TORFの算出方法:ウォーター・フォール構造
上述のとおり、TORFは「前決め金利」というメリットを有します。もっとも、一定の問題点があることも否定できません。そもそもTORFはOISというデリバティブのプライスに立脚していますから、OISそのものの公正な価格をどのように得るかという論点が存在します。これは服部(2021)で議論したOTCの取引そのものが有する構造的な問題です。
上述の問題点を対処するため、TORFではウォーター・フォール構造が設定されています。ウォーター・フォール構造とは、服部(2021)でも説明したとおり、売買の実績に近い価格を採用し、それがない場合は気配値(インディケーション)、さらには専門家の判断など実際の売買から距離がある価格を採用していく方法です。TORFにおける詳細はQBSの説明資料を参照していただきたいのですが、図表5(TORFにおけるウォーター・フォール構造のイメージ)に記載しているとおり、第一順位には実取引に基づいた値が用いられ、それが得られない場合はより詳細な情報を有する気配値から順番に採用されます。東京営業日の午後3時時点を基準時点としており、前述のとおり、1か月物、3か月物、6か月物の3つのターム物金利を公表しています(公表時間は午後5時頃です)。TORFの算出においては専門家の判断が用いられず、これはTORFの有する重要な特徴です。
3.3 TORFの有効性はOISの流動性に依存
上述の文脈に照らし合わせると、TORFが市場参加者からみて妥当と思える値になるかはどの程度OISに流動性があるかに依存するといえます。実は、OISは2006年から我が国で取引がなされるようになったものの、長い間、円金利のOISは流動性が低いことで有名でした*28。そもそも、LIBORの指標改革は実際の取引に基づかない指標であったがゆえ操作されたことを反省にスタートをしているわけですが、仮に流動性がないOISに基づいて代替金利を構築した場合、実態に基づかない金利指標が生まれてしまうことになります。極端な例にはなりますが、ほとんど流動性がないマーケットであった場合、基準時点である午後3時に一部の投資家が売買を行うことで、それがTORFに影響を与えてしまうということになりかねません。
我が国におけるOISの流動性が問題になりえる点については、LIBORの代替金利を考えるうえで、市場参加者や政策担当者に認識されています。日銀においてLIBORの代替金利を模索するため、金融機関とともに「リスク・フリー・レートに関する勉強会」を実施してきましたが、その中でもOISの流動性について度々と議論されてきました*29。一方で、2021年7月から、いわゆる「TONAファースト*30」が実施されたほか、2021年9月末におけるLIBOR参照の金利スワップの新規取引停止*31等を背景に、LIBORをインデックスとするスワップから、OISへ急速に移行が進みました。図表6(金利スワップに占めるOISのシェア)は、日本証券クリアリング機構(Japan Securities Clearing Corporation, JSCC)で清算されるLIBOR、TIBOR(Tokyo Interbank Offered Rate, 東京銀行間取引金利)をインデックスとする金利スワップおよびOISの取引量を示していますが、LIBORをインデックスとするスワップからTONAをインデックスとするスワップ(OIS)へ急速にシフトをしていることがわかります*32。
前述のとおり、OTC市場では売買に立脚した公正な価格を見出しにくいことは服部(2021)で強調した点でした。その意味で、売買に立脚した公正な価格が見出しやすい先物市場の価格(取引所取引でプライシングがなされた価格)を用いてターム物の金利を決めたほうが良いとも言えます。特に金利先物は将来の金利の予約であり、その価格は将来の金利の予測と解釈することが可能であることから、取引所で定められた金利先物の価格をターム物金利として活用することも考えられます。事実、米国では、(RFRとして特定化された)担保付翌日物調達金利(Secured Overnight Financing Rate, SOFR)を原資産とした金利先物の価格に立脚してターム物金利を算出することを決めました*33(金利先物については次回の論文で取り上げます)。しかし、残念なことに、我が国において金利先物の流動性が全くありません(LIBORやTONAを原資産とする金利先物は取引がなされていませんし、若干取引がある金利先物の原資産はユーロ円TIBORです)。そのため、我が国においてOTC市場のプライスであるOISをターム物後決め金利に用いた背景には、金利先物に立脚したターム物金利を作ることができないこともあります。
我が国の金利先物については次回の論文で詳細に説明しますが、筆者の理解では、我が国の金利先物に流動性が欠如している最大の理由は、日銀による低金利政策が2000年頃から継続しており、短期金利の変動が少ないためです。そもそも短期金利がほとんど動かず緩和的な政策が続いているのですから、円金利市場において短期市場の流動性が構造的に低下することは必然といえます*34。
3.4 TORFをインデックスとする金利スワップは取引がなされるか
上記以外の問題点として、TORFをインデックスとする金利スワップが現時点(稿執筆時点)でほとんどなされていない点も挙げられます。TORFをインデックスとした金利スワップは、OISなどと異なり、日本証券クリアリング機構において清算対象取引となっていない(2021年12月時点)など、市場参加者にとって現時点でハードルがあります*35。また、TORFをインデックスとしたスワップに流動性がないと、変動債の組成などで業者がヘッジすることが困難ですから、どの程度TORFに基づいた変動債が供給されるかにも不確実性があります(金融商品組成において金利スワップを用いてヘッジするイメージはBOX 3を参照してください)。LIBORからの移行のほとんどは2021年中に終わってしまいますから、それ以降、当面はTORF以外を参照した変動債が発行されていく可能性があり、それがスタンダードになってしまった後ではTORFを参照した金利スワップを取引するニーズがどれくらい生まれるかは不透明といえましょう。
強調しておくべき点は、公的機関や取引所、協会などが仮にTORFを参照した金利スワップの活性化を誘導したとしても、その意図したように市場が形成されるとは限らない点です。我が国の例を挙げれば、超長期国債先物やLIBORを原資産とした金利先物の市場など、取引所主導で市場を形成する試みが見られましたが、ほとんど流動性がない状態であり、必ずしも取引所などが企図した形で市場が形成されない事例は数々とみられてきました(このような現象は円金利市場だけでなく、他国でも見られることです*36)。さらに厄介な点は、TORFの正しさの根拠はOISの流動性に依存しますから、投資家がOISとTORFをインデックスとしたスワップを分散して取引した場合、OISそのものの流動性も低下させうる点です。いずれにせよ、大切な点は、市場参加者のニーズに立脚して取引が行われますから、TORFをインデックスとしたスワップの流動性がどの程度向上するかは注目すべき点です*37。

BOX 2.移行とフォールバック
前述のとおり、円LIBORは2021年末に公表が停止されますが、それ以降は、円LIBORをインデックスとした金利スワップの取引ができなくなります。これに伴い、市場参加者は2021年12月までに満了を迎え、新規でなされる契約は「移行」を促すとともに、2021年以降も残る既存契約については円LIBORを、TONAやTORFなど他の指標金利で代替します。図表7(移行とフォールバックのイメージ)は日本円金利指標に関する検討委員会の資料を抜粋したものですが、上記のように2021年末を待たずに終了して、新契約を約定するものを「移行」とする一方、下記のように2021年を跨いで、後継金利へ変更することを「フォールバック」といいます。
円LIBOR参照契約としては、(a)JSCCでクリアリング(清算)されているデリバティブ、(b)クリアリングがなされないデリバティブ、さらに、(c)債券やローン等を分ける必要があります。(a)クリアリングされるデリバティブ(例えば円LIBORを参照とした金利スワップ)は、そもそも2022年を待たずにJSCCがOISに変換する点が重要です*38。その場合、過去の金利に立脚し、6か月円LIBORを「TONA+〇〇bps」という形でフォールバックすることが決定されています。このことから、2021年12月末にフォールバックされる円LIBORをインデックスにした金利スワップは、(b)クリアリングがなされないものに限られます*39。もっとも、(b)については金融危機以降、清算集中の義務化が進んだこと等を背景にこの取引は相対的に少ないといえます(清算集中義務やクリアリングなどについては今後の論文で丁寧に紹介することを予定しています)。
また、国際スワップ・デリバティブズ協会(International Swaps and Derivatives Association, ISDA)が定めるフォールバック規定を取り込んだデリバティブについてはISDA準拠の契約がほとんどであり、契約者が同意した場合、既存契約を書き換える仕組み(プロトコル)が存在しています。このプロトコルに批准することにより、LIBOR移行のプロセスを円滑に進める工夫がなされています(デリバティブ取引をする金融機関のほとんどがプロトコルに批准しています)。
ISDA準拠の金利デリバティブのフォールバックにおけるスプレッド調整については、過去5年におけるLIBORとOISのスプレッド・データの中央値を用いる方法が採用されています*40。もちろん、それ以外の方法もありえましたが、この方法はある種機械的に定める方法であり、不正が起こりにくい方法ともいえます。もっとも、過去5年の中央値は足元の実態に即していない側面も少なくないことから*41、投資家はフォールバックの前に取引の解消を進めています。例えば、リスク特性の近いスワップを束にして、固定金利受けポジションと払いポジションを相殺して消滅させていくことで、そもそもフォールバックの対象になるスワップ取引そのものを減らす努力をしているわけです。
一方、債券やローンなどについても、日本円金利指標に関する検討委員会が移行やフォールバックに関する指針を示していますが、最終的な判断は契約をしている各主体に委ねられています。特にわが国についていえば、そもそもLIBORに紐づいた変動債が仕組債などに偏っています*42。仕組債は流動性が乏しいため、各証券会社がそれぞれの仕組債を保有している投資家の把握が容易であることから、事前に解約するか、どの指標金利でフォールバックするかを交渉して決めることができます。一方、仕組債以外にも変動債が多い国もあり、公募債である場合はどの投資家が当該債券を保有しているかを把握すること自体困難ですから、社債権者集会の開催など様々な論点が存在しています。
なお、フォールバックについては、例えば、「6か月円LIBOR+50bps」という変動債であれば「TIBOR+〇〇bps」や「TORF+〇〇bps」という形で調整をします。

参考文献
白川方明(2008)「現代の金融政策―理論と実際」日本経済新聞出版
東短リサーチ(2019)「東京マネー・マーケット 第8版」有斐閣
富安弘毅(2014)「カウンターパーティーリスクマネジメント(第2版)」きんざい
日本銀行(2018)「日本円OIS(Overnight Index Swap)─取引の概要と活用事例─」
服部孝洋(2019)「イールドカーブ(金利の期間構造)の決定要因について―日本国債を中心とした学術論文のサーベイ―」ファイナンス10月号、41–52.
服部孝洋(2020a)「金利スワップ入門―基礎編―」『ファイナンス』8月号、56–65.
服部孝洋(2020b)「アセット・スワップ(スワップ・スプレッド)入門―日本国債と金利スワップの裁定について―」『ファイナンス』9月号、64–73.
服部孝洋(2021)「金利指標改革入門」『ファイナンス』11月号、10–19.
三宅裕樹・服部孝洋(2006)「イールド・カーブ推定の動向―日本における国債・準ソブリン債を中心に―」『ファイナンス』11月号、65–71.

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新聞記事で時々見かけるOIS(オーバーナイトインデックススワップ)やTIBORの円金利3ヶ月ものから市場が利下(上)げ織込み度合いを見る方法を教えてください。

ベストアンサーに選ばれた回答

> 金利引き上げを5割織り込んでいる水準ということでよいのでしょうか。
その通りです。5割と織り込んでいると考えていいです。
OISは無担保コール翌日物金利の期間内の平均値を取引する商品です。
日銀が0.5%に誘導しようとしているのは、まさにこの金利です。
日銀は供給オペや資金吸収オペなどによって誘導目標に近づけようとします。
毎日ぶれたとしてもだいたい0.48から0.52%の間くらいには入ります。
ですので、OISの期間内の金利は、これら毎日の取引金利の平均値なので、ほとんど誘導目標と同じになると考えてよいです。
(ただし、年末越え、年度末越えなどで、資金需要が多い場合は、日銀のオペがあっても0.5%に近づけるのが難しい場合もあります。例えば2007年の最終日は、資金需要を見越して日銀は供給しすぎてしまい、0.46%まで下がってしまいました。)
12月や3月の決定会合であれば、テクニカルな調整が必要ですが、
この6月のケースであれば、利上げ確率50%と考えていいと思います。

TIBORの金先から利上げ確率を計算するのは難しいです。
1年ほど前でしたら、TiborとOISのスプレッドは15bp近辺でした。
しかし昨年の8月くらいからサブプライム問題をきっかけにの銀行間の貸出金利が高くなってしまい
現在は30-40bpくらいまでに広がっています。
このように、金先とOISのスプレッドの水準は結構変動しています。
なので円金利先物から折込確率を計算するのは困難です。

また、最近ではOIS先物も上場しましたが、取引量が少なく、あまり参考になりません。

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その他の回答

今、私の手元にある『短期金融市場の基本とカラクリがよく分かる本』(久保田博幸 著)秀和システム
の中に関連する記述があるので、抜粋します。115ページ。

「 さらに短期金融市場にも先物取引が存在します。東京金融取引所においては、ユーロ円金融先物
取引が行われています。ユーロ円3ヶ月金利先物は、清算日をスタートする円3ヶ月物金利の先物です。
東京金融取引所のユーロ円3ヶ月物金利は、3,6,9,12月の清算日の契約が取引されます。もし、
日銀が数ヶ月のうちに金融政策の変更を行う可能性が高まるとすれば、どの程度の幅で誘導金利が動か
されるのかを推測しながら、先物にはヘッジ取引なども入りますが、それ以上に海外投資家によるところの
投機的な売買も入りやすく、市場のマインドを見る上では先物の動きも注目されます。
さらにOIS取引と呼ばれる、一定期間の無担保コールレート(翌日物)と固定金利を交換する金利
スワップ取引も行われてます。OIS取引は、翌日物のコールレートそのものを取引対象としているため、
ユーロ円金先などに比べ、日銀の金融政策の変更に対しよりきめ細かなリスク管理を可能とするとされて
います。
加えて、このOIS取引によって、どの程度の確率で日銀の金融政策の変更の可能性があるのかとい
ったものを具体的な数値で示すことも可能となっています。つまり、日銀の金融政策スタンスに対する市場
の見方を観察するのにも適しているわけです。
ただし、今のところ取引主体は、限られた外資系金融機関にほぼ限定されており、思惑的な取引が
大きく、OIS取引動向はあくまで市場の見方を示すもののひとつでしかありません。OISで金融政策の
変更の可能性が、たとえば50%となったとしても、それはその時点での市場参加者の思惑が数字になって
現れているにすぎず、実際の可能性を示しているわけでもありません。」

同116ページにOISの金利水準のグラフがあり、それを見る限りでは、政策金利が0.75で、予想される
金利が1.0である場合に、1.0-0.75=0.25を100%として、50%織り込むとは、0.25×0.5
=0.125の幅で、OISの金利水準が政策金利より上にあれば、50%の織り込み度ということになります。

LIBORの公表停止について

銀行間調達金利(IBOR)の改革
LIBORにおける弱点は、レートを呈示するリファレンス・バンク(パネル行)が、実際の銀行間預金市場取引のレートではなく取引の見積もりを要求されたことです。これは、パネル行のガバナンスが弱いことと相まって、重大な操作を可能にしました。金利指標に関するグローバルな改革においては、実際の取引に基づく呈示、その取引記録の保持および一定時間後にパネル行から呈示されたレートを発表する点に重きが置かれ、金利指標の操作に対しては刑事制裁が導入されます。斯かる改革は2014年に始まり、完全または部分的に実際の取引データに基づく金利指標を導入し、記録保持要件および操作に対する刑事制裁も導入されました。

円滑かつ確実な移行
円滑かつ確実な移行を実行するため、当局および担当者は、数十万件の契約における参照指標の変更、LIBORを参照した新規契約の締結、リスク管理およびシステム対応の更新時に発生する各種潜在的なリスク(経済、法務、事務および評判等の観点から)に対して取り組んできました。

移行リスク
代替金利指標を参照する金融商品が完全に機能する市場を実現するため、斯かる商品における市場流動性および需要は現在の比較的低い水準から成長する必要があります。米国においては、米ドルLIBORから担保付翌日物調達金利(SOFR)への円滑な移行を支援するため、米連邦準備制度理事会およびニューヨーク連邦準備銀行によって招集されたプライベート市場参加者グループである代替参照金利委員会(ARRC)が斯かる課題に着目しています。欧州中央銀行、イングランド銀行および両行が議長を務めるプライベート市場参加者グループは、米国と同様の方向に進んでいますが、既に確立された金利指標と慣行を離れ、費用負担が大きい指標の再構築に乗り出すインセンティブはARRCと比較して異なる可能性があります。

よくあるご質問(FAQ)

ベアリングスはLIBOR移行のためにどのような準備をしていますか?
投資における大規模な足がかり(特にハイイールドおよびプライベート・デット市場における)およびローン・マーケット・アソシエーション(LMA)やローン・シンジケーション・アンド・トレーディング・アソシエーション(LSTA)などの業界団体との協働を通じ、ベアリングスはLIBORの廃止と移行が投資およびポートフォリオに与える影響度を十分に分析しています。秩序立った移行に際し、ベアリングスは十分な体制を整えていると考えます。

市場で予想される代替金利指標はありますか?ベアリングスは代替金利指標への移行による影響をどう分析および評価していますか?
LIBORの代替となるリスクフリー・レートについては、世界の主要地域における中央銀行および規制当局によって以下の通り提案されています。

  • 米ドル:代替参照金利委員会(ARRC)は、新たなリスクフリー・レートとして、翌日物の米国債レポ金利に基づく担保付翌日物調達金利(SOFR)を特定しました。SOFR先物取引およびSOFRを参照するオーバーナイト・インデックス・スワップは、2018年末に取引開始しました。
  • 英ポンド:イングランド銀行および金融行動監視機構(FCA)は、新たなリスクフリー・レートとして、2007年に確立された無担保翌日物の英ポンド金利に基づく英ポンド翌日物平均金利の改訂版(SONIA)を特定しました。現在、SONIAを参照するスワップ市場が存在し、英ポンド・オーバーナイト・インデックス・スワップの代替リスクフリー・レートとして使用されています。
  • ユーロ:欧州中央銀行(ECB)は、新たなリスクフリー・レートとして、2019年10月に取引を開始したユーロ短期金利(ESTER)を特定しました。当該金利は、無担保マネー・マーケット市場における取引について、ECBがユーロ圏にある52の大手銀行から収集したデータに基づきます。ECBは、EURIBORの公表を停止する予定はないと発表しました。

契約にフォールバック条項が含まれていない資産を保有するファンドはありますか?
近年においては、LIBORが廃止された際の代替金利指標を定めた、フォールバック条項を契約において記載することが標準的な慣行となっています。LIBOR廃止をカバーする特定の条項が導入される以前においても、何らかの理由によりLIBORが利用できない場合を想定し、殆どのクレジット契約においては、ベース金利もしくはプライム・レートへの切り替えに関する条項が包含されていました。

ローンの場合、フォールバック条項が記載されていない既存契約の修正プロセスは誰が主導しますか?
一般的に、フォールバック条項においては、管理代理人(エージェント)と債務者双方が新たな参照金利について合意する必要があるため、通常、管理代理人と債務者が修正プロセスを主導します。債権者の合意を要する、または債権者が反対する権利を有する場合もあります。

影響を受けるファンドにおいて、LIBOR関連エクスポージャーを適切に管理するため、ベアリングスはどのような対応をしていますか?
ベアリングスは、顧客に代わり保有する関連資産において全ての契約のレビューを完了し、影響を受ける分野を特定しました。

オーバーナイトインデックススワップとは

オーバーナイトインデックススワップは、非常に特殊なタイプのデリバティブです。 これには、特定の投資に対して支払う利息の交換に同意する2つの当事者が含まれます。通常、これは、各当事者がさらされるリスクのレベルを変更する場合に行われます。 この場合、これらの投資の1つにオーバーナイトインデックスが含まれます。これは、商業ローンに利用可能な金利の指標です。 オーバーナイトインデックススワップで使用されるレートと、銀行がお互いにお金を貸すために請求するレートの差は、マネーマーケットでのクレジットの可用性の指標であるという強力な経済理論があります。

オーバーナイトインデックススワップは、金利スワップの一種です。 これは、2つの当事者が特定の投資の利子として支払うお金を交換することに同意する場所です。 これらは、実際の投資または単なる仮想的な例です。 オーバーナイトインデックススワップとは どちらの側の投資も固定または可変であり、2つの投資は同じ通貨または異なる通貨である可能性があるため、金利スワップを使用したさまざまなセットアップが可能です。 一般的に、一方の当事者はリスクを制限するように取引を行い、変動金利が上昇するリスクなど、他方の当事者は自信を持ち、潜在的な利益を増やしたいと考えて取引を行います。

オーバーナイトインデックススワップでは、取引の一方の当事者に使用される投資はオーバーナイトインデックスです。 これは、一晩でお互いからお金を借りるために金融機関が請求する料金の平均です。 これにより、顧客が入金または引き出しを行う際の日中のキャッシュフローの変動に対応し、翌日の業務に十分な現金を手元に確保できます。

米国では、使用されるインデックスは連邦資金率に基づいています。 これは、連邦準備制度の銀行間のオーバーナイトレンディングの目標レートです。 連邦準備制度は、目標を達成するために市場金利を操作しようとするために、一晩貸出のために市場に介入します。

指数は幾何平均として計算されます。 これは、ほとんどの人が「平均」と考える算術平均と似ていますが、数字を足して数字の数で割る代わりに、数字を掛け合わせてから割ります関連するルート。 2つの数字がある場合、平方根が取得され、3つの数字がある場合、立方根が取得されます。

投資家は多くの場合、オーバーナイトインデックススワップで使用されるレートと、銀行間の直接オーバーナイトローンで使用されるLIBORレートに細心の注意を払います。 LIBORは、ロンドン銀行間取引レートの略です。 このレートはロンドンのオーバーナイトローンの市場から導出されますが、連邦資金レートとLIBORの最も大きな違いは、LIBORは純粋に市場によって決定され、当局による操作を試みないことです。

多くの投資家は、大量の実際の現金が危機にrealしているため、LIBOR融資はリスクが高いという理論に従いますが、オーバーナイトインデックススワップは単に金利の変動を伴います。 理論では、オーバーナイトインデックススワップレートは一般により安定しており、LIBORレートが大幅に変動する場合は、銀行が他の銀行への貸出に対してより警戒している兆候です。 同様に、これは、企業などの将来の借り手に対する信用の利用可能性が厳しくなることを示唆しています。 この理論は、翌日物の指数スワップレートとLIBORレートとの間の特に大きな変動が「クレジットクランチ」と呼ばれるものの頂点に達した2008年にはっきりと示されました。

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