通貨オプション入門

ディーラーとブローカーの違いとは

ディーラーとブローカーの違いとは
米国のRIAでは顧客の立場に立ってアドバイスを行い、顧客の資産残高に連動したフィーを収入とするフィーベース型ビジネスが台頭しています。
顧客の資産残高に応じてアドバイザーの収益が決定するので、顧客の資産が減るとアドバイザーの収益も減ってしまいます。逆に顧客の資産が増えるとアドバイザーの収益も増えます。
つまり顧客とアドバイザーが同じ方向を向く、WIN-WINの関係が築きやすいスタイルなのです。

ゲームストップ株騒動とペイメント・フォー・オーダーフロー

米国の株式市場では、コロナ禍の下「ステイホーム」が推奨される中、取引用アプリのダウンロードや取引手数料などがすべて無料と宣伝する証券会社ロビンフッド社を通じて頻繁に売買を行う個人投資家が急増している。そうした中で、2021年1月下旬、投資家向けのネット掲示板 Reddit への投稿内容に刺激された一部の個人が、空売りファンドに対抗するためとしてゲーム小売りチェーンであるゲームストップ社の株式に大量の買い注文を集中させるという事態が生じた。

ところが一部の投資家は、ゲームストップ株を大規模に空売りしていた空売りファンドが買い注文の急増で高騰する株価での買戻しを余儀なくされることを恐れた大手HFT(高速取引)業者シタデル社が、ロビンフッド社に対して買い注文を制限するように求めたに違いないと主張して両社を強く非難した。こうした陰謀論とも呼ぶべき憶測が生まれた背景には、シタデル社がゲームストップ株を大規模に空売りしていた空売りファンドであるメルヴィン・キャピタルの出資者であると同時に、ロビンフッド社に対して多額のペイメント・フォー・オーダーフロー(PFOF:payment for order flow)を支払って同社顧客の売買注文を買い取るマーケットメーカーでもあるという事情があった。

ペイメント・フォー・オーダーフロー(PFOF)とは

米国の株式市場構造は極度に分散化しており、NMS銘柄を売買できる取引市場(trading venue)は16の株式取引所市場と代替取引システム(ATS)など50ヵ所以上もある。それら多数の取引の場で表示される最も高い買い指値と最も低い売り指値が情報システムによって集計され、それらの中で最も売り手あるいは買い手にとって有利な価格が、全米最良気配(NBBO:national best bid/offer)として公表される。顧客からNMS銘柄の売買注文を受託したブローカー証券会社は、原則としてその時点のNBBOよりも顧客にとって不利な価格で注文を執行してはならないものとされる。これが最良執行義務(best execution obligation)である。

ブローカー証券会社が最良執行義務を果たすための有力な方法は、ある瞬間にNBBOを示す取引市場へ自社の対当する注文を回送することである。現在の米国株式市場は、ミリ秒、マイクロ秒単位で注文状況が変化する高速取引の場となっている。そこでNBBOを表示する取引市場の変化に対応して、ある取引市場に回送された注文を他の取引市場へと迅速に転送する高度な取引システムが必要となる。そうした仕組みを構築して顧客注文の最良執行の確保を図る手法をスマート・オーダー・ルーティング(SRO:smart order routing)と呼ぶ。

ディーラーとブローカーの違いとは

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銀行や証券会社などの金融機関が取引する株式、債券、外国為替等の金融商品は、取引所を通じて取引される「取引所取引」と、取引所を介さずに主に専門の仲介業者を通じて取引される「相対取引」の2種類に分類できます。

相対取引はOTC(Over The Counter)が由来で、OTC取引や店頭取引とも言います。定型化された上場商品を扱う「取引所取引」とは異なり、取引内容を自由に設定できるため、融通が利きます。

このように取引所を介さず、各金融機関のディーラー間取引を相対で媒介する金融媒介業者がインターディーラーブローカー(IDB: Inter-Dealer Broker)です。

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OTCデリバティブ専門のIDB

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OTC

現在発行されている利付日本国債(JGB:Japanese Government Bond)には、2年債、5年債、10年債、20年債、30年債、40年債の6種類があります。JGB取引は「現物取引」です。

JGB先物は「デリバティブ取引」の一つです。1985年10月に取引が開始され、現在は大阪取引所(JPX:日本取引所グループ)に上場されています。このJGB先物は、期間10年の「標準物」を取引対象としています。このように、取引所に上場されているデリバティブを「上場デリバティブ」と呼びます。

これに対し、当社で取り扱っている金融商品は相対で取引するデリバティブで、「OTCデリバティブ」と呼ばれています。

金利スワップ

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金利スワップはIRS(Interest Rate Swap)の日本語訳で、デリバティブ取引のひとつです。

市場では「固定金利」部分をプライスとして取引し、元本移動は行わず、通常、固定金利と変動金利の差額のみを決済します。金利スワップの元本は金利計算のために使用される元本で「想定元本」と呼びます。

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米ドルの場合、米ドル固定金利とSOFR複利を交換する「SOFRスワップ」が主流です。

また、同一通貨の異なる種類や異なる期間の変動金利を交換する金利スワップを「ベーシススワップ」と呼びます。

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金利オプション

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スワップション」とは、金利スワップを原資産としたオプション取引のことで、ネーミング通り「スワップ」と「オプション」を組み合わせた取引です。

キャップ」の仕組みは、将来の金利上昇のリスクに備える保険に似ており、保険料に相当するプレミアムの取引です。キャップの売り手は、金利が設定レベル以上に高くならなければ、プレミアム分が利益になります。

反対に、「フロアー」は、将来の金利低下のリスクに備えるための保険に対するプレミアムの取引です。

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ドル円ベーシススワップ

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両者が「2年ドル円ベーシスを-40bpで取引」したとすると、米銀Aは、邦銀Bに2年間、3か月毎にSOFR複利と同じ金利でドルを貸出す代わりに、邦銀Bから3か月度に「TONA複利より40bpも低い金利で円を調達できる」ということです。

これはドルのニーズが高いために、邦銀Bにとって、ドル調達にはリスク・フリー・レート(RFRに含まれない「ドルプレミアム」を払う必要があるということです。

つまり邦銀Bは、ドルをSOFR複利フラットで調達できる代わりに、ドルプレミアムとして円をTONA複利よりも40bpも低いレートで貸し出さなくてはならないのです。

結果、米銀Aは、邦銀が躊躇するような、例えばマイナス0.12%(マイナス12bp)の2年日本国債を買っても十分利ザヤが稼げるのです。

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クレジット・デリバティブ

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クレジット・デリバティブとは、国や企業のデフォルト(債務不履行:債権の利息や額面金額が約束通りに支払われないこと)のリスクを取引するデリバティブ取引の総称です。その中で最もポピュラーなCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)をご紹介します。

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現物取引とデリバティブ取引

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現物取引では、決済時に現物と現金を取引します。株式や債券などの有価証券等、その時々の市場の時価で計算された売買代金を受け渡しします。自己資金の範囲内でしか現物を購入できませんし、持っていない現物は原則売却できません。

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JGB現物を購入する場合、市場価格である債券価格を考慮した購入代金を支払います。例えば額面100億円のJGB現物を債券価格101円で購入した場合、A銀行は101億円の購入代金を支払います(元本移動あり)。これが現物取引です。

デリバティブとは、通貨、金利、債券、株式などの現物の金融商品から派生した商品のことで、「金融派生商品(Financial Derivatives)」とも言います。デリバティブには、先物取引オプション取引スワップ取引等があります。

JGB先物を購入する場合、100億円相当を取引所に支払うのではなく、100億円よりもはるかに少額の証拠金を取引所に預託します(元本移動なし、購入価格と売却価格の差金決済)。売り買い、どちらからでもポジションを取ることができます。

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