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流動性リスクの正しい理解

流動性リスクの正しい理解
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日本取締役協会

資本コストとは、一般には、加重平均資本コストを指す。では何の加重平均かというと、負債のコストと株式(株主資本)のコストの加重平均である。加重平均資本コストに相当する英語が、"Weighted Average Cost of Capital"であり、略してWACCという。つまり、WACCと資本コストとは同じものを意味している。 さて、本誌の読者の皆様は、投資案件や大きな資金調達を実行するか否かについて、日常的に判断を求められていることと思う。実務的にはそれぞれの会社によって、その判断基準はまちまちであろうが、企業金融理論では、その判断基準は明確かつシンプルである。投資についていえば、投資案件によって生み出される毎期の「将来キャッシュフロー」について、「割引現在価値」を計算し、それが投資金額を上回れば、その投資案件は実行すべきである、というものである。

お金の時間価値と金利

複利計算と割引現在価値

無リスク金利とリスクプレミアム

●式3
国債のリスクプレミアム=0
<社債のリスクプレミアム<株式のリスクプレミアム

●式4 流動性リスクの正しい理解
負債コスト:Rd=Rf+(Rd-Rf)
株主資本コスト:Re=Rf+(Re-Rf)

株式保有のリスクと株式の期待収益率

将来キャッシュフローを割引くにあたって適切な割引率とは?

資本コストと機会費用

さて、「資本コスト(Cost of Capital)」とは、「調達した資本に対して投資家が期待する収益率」と定義される。資本コストの正式名称を、「資本の機会費用(Opportunity Cost of Capital)」という。投資家は、その会社の社債や株式に投資することで、数ある他の投資機会を断念していることになる。そこで、企業経営者は投資家に対して、他の投資機会ではなく自社に対して資本を提供してくれていることに報いる責任が生じる。 現在の社債権者や株主が、社債や株式に投資しているのは、同程度のリスクがある他の投資機会と比較して、現時点において、その会社の発行する社債利回りや株式の期待収益率が、十分魅力的であると感じているからである。従って、企業経営者にとって、投資家に対して報いるべき最低限の収益率は、社債保有者についてはその時点における社債利回り、株主についてはその時点における株式の期待収益率ということになる。

負債コストは財務数値を用いて推定

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●式6

株主資本コストの推定CAPMによる推定

この式を、資本資産評価モデル(Capital Asset Princing Model)、略してCAPM(キャップ・エム)と呼ぶ。

(Rm-Rf)は、単に「株式リスクプレミアム」とも呼ばれる。日本株についてはTOPIXを用いた実証研究の結果3~6%と推定されている。また標準的な企業金融の教科書である、"Principles of Corporate Finance"(Brealey, Myers and Allen著)は、米国株の株式リスクプレミアムを5~8%としている。

このようにCAPMを用いた株主資本コストの推定に必要なインプットである、Rf, β, Rm-Rfは、全て資本市場において観察可能か、推定済みということになる。

WACCの計算

  1. "Net Present Value"の略で、日本語では「正味現在価値」。
  2. ここでは、中央銀行=政府と考えている。現実には、政府からの中央銀行の独立性を法律によって担保していることが多い。
  3. 無リスク金利は、「リスクフリー・レート」とも呼ばれる。無リスクといっても、自国通貨による支払いについてリスクがないということである。国債でも市場金利の変動に伴う価格変動リスクや、インフレーションによって実質価値が減価するリスクなどには晒されている。また同じ国債でも、外貨建て国債は無リスクではない。
  4. βは、代表的な表計算ソフトExcelを使うことで、簡単に推定することができる。まずTOPIXと分析対象銘柄の株価データを用いて、それぞれ直近60ヵ月分の月次収益率を計算する。X軸をTOPIX、Y軸を当該銘柄の月次収益率として、60ヵ月分の収益率に関して散布図を描く。その散布図に基づき回帰線を引くと、その傾きがβとなる。

熊谷五郎Goro Kumagai 流動性リスクの正しい理解
みずほ証券株式会社グローバル戦略部産官学連携室上級研究員、公益社団法人日本証券アナリスト協会企業会計部長、京都大学経営管理大学院座客員教授。
国内外の会計基準設定、財務報告・サステナビリティ報告制度に幅広く関与する一方、京都大学経営管理大学院にて、留学生向け講座 "Corporate Finance and Capital Markets"を担当。IFRS Interpretations Committee 委員、企業会計基準委員会委員(非常勤)、企業会計審議会会計部会臨時委員、金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループ委員等を兼任。1982年慶應義塾大学経済学部卒、1987年 New York University, Stern School of Business卒

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