【令和3年版】年末調整「所得金額調整控除申告書」の書き方・計算方法を税理士が解説
出典:国税庁「給与所得者と税」
所得金額調整控除
令和2年からの所得税法の改正により、 給与所得控除額に関して10万円の減額と上限金額の引き下げが行われました 。
所得金額調整控除の制度概要
- 子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除
- 給与所得と年金所得の双方を有する者に対する所得金額調整控除
所得金額調整控除の制度概要(著者作成)
まず前提となるのは「給与等の収入金額が850万円を超える」という点です。
【計算方法】
給与等の収入金額が950万円の場合
- 所得金額調整控除:(950万円-850万円)×10%=10万円
- 給与所得の金額:950万円-195万円-10万円=745万円
所得金額調整控除申告書の書き方
(1)「要件」欄
出典:国税庁「令和2年分 給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」
(2)「☆扶養親族等」欄
出典:国税庁「令和2年分 給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」
(3)「★特別障害者」欄
出典:国税庁「令和2年分 給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」
- 身体障害者手帳に身体上の障害の程度が一級又は二級と記載されている方
- 精神障害者保健福祉手帳に障害等級が一級と記載されている方
- 重度の知的障害者と判定された方
- いつも病床にいて、複雑な介護を受けなければならない方 など
年末調整はコツコツ進めましょう
【編集部より】年末調整 令和3年度「税制改正」のポイント
【こんなことがわかります】
-
上限と計算方法をご紹介します
- 令和3年度の税制改正について
- 税制改正による年末調整の変更点
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専門学校講師、会計事務所勤務を経て、2007年に「高橋創 税理士事務所」を開業。また、新宿ゴールデン街にBar「無銘喫茶」を構える。著書に「図解 いちばん親切な税金の本 20-21年版」(ナツメ社)、「フリーランスの節税と申告 経費キャラ図鑑」(中央経済社)、「桃太郎のきびだんごは経費で落ちるのか? 日本の昔話で身につく税の基本」(ダイヤモンド社・2020年12月発売予定)など。
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減給の制裁の内容
【減給する額の制限】
1回あたりの減給額の制限
「平均賃金」とは、平均賃金の算定事由が発生した日の 直近3ヵ月間に支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で割った金額 をいいます(労働基準法第12条)。
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【平均賃金の計算方法】
少し細かい話になりますが、 「平均賃金を算定すべき事由の発生した日」とは、「減給の制裁の意思表示が、従業員に到達した日」 をいいます(昭和30年7月19日 基収5875号)。
複数の事案に対する制裁を行う場合
この考え方を、「 一事不再理の原則(二重処罰の禁止) 」といいます。
言い換えると、 1回の事案に対して、平均賃金の半額ずつ、何回にもわたって減給することもできません 。
非常にレアケースではありますが、 減給の対象となる事案が1日に2回以上ある場合 は、それぞれの事案に対する減給額が、平均賃金の1日分の半額以内であれば、 それらを合計した減給額が、結果として平均賃金の1日分の半額を超えたとしても、問題はない と解されます。
減給額の総額の制限
そして、「総額」とあるように、この制限は、 複数の事案について減給が行われる場合を想定 しています。
つまり、一賃金支払期に発生した複数事案について、減給をする場合、各減給額を合計した総額が、その賃金支払期の賃金総額の10分の1を超えるときは、減給額を10分の1に収める必要があります。
法律に違反した場合の罰則
減給の金額が平均賃金の1日分の半額を超えているなど、減給の制裁の規定に違反した場合には、 30万円以下の罰金 が科せられます(労働基準法第120条第1号)。
最低賃金と減給の制裁との関係
この点、そもそも最低賃金は、従業員が実際に手にする金額(手取り額)の最低額を保障しているわけではなく、 あくまで、契約上の賃金の最低額を定める法律であることから、問題ない と解されます。
降格・出勤停止と減給の制裁との関係
賞与と減給の制裁との関係
賞与への適用はあるか
賞与についても、減給の制裁の制限が適用されます 。
したがって、賞与から減給する場合にも、1回の事由については平均賃金の半額を超えてはならず、かつ、総額については 賞与額の 10分の1を超えてはならないこととされます(昭和63年3月14日 基発150号)。
低位査定による賞与の減額は減給に該当するか
この点、賞与の定め方による部分もありますが、 基本的には査定の結果として賞与が減額されることは、減給の制裁には該当しない と解されています(平成13年5月23日 広島高等裁判所判決)。
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